2010年03月21日

工学:シリコンベースのスピントロニクス

スピントロニクスでは、従来型エレクトロニクスの基本単位である電子電荷に代わって、電子スピンの自由度が、将来のスピンベースの電子データ記憶やコンピューティング技術における情報担体として使われます。

現在のエレクトロニクスではシリコンが普及しているので、シリコンベースのスピントロニクスデバイスを実現しようという努力がなされてきました。

しかし、これまでのところ、そのようなデバイスで電荷キャリアのスピン制御に成功したのは低温の場合のみであり、しかも1種類のキャリア(電子)のみに限られていたため、スピントロニクスの技術的可能性が制限されていました。

今回、トゥエンテ大学(オランダ)の研究チームは、シリコンベースの三次元デバイスを製作し、電子と「正孔」(電子の抜けた孔で正電荷をもつ)の両方のスピン偏極を温室で注入して操作し、検出することに成功しました。


### database ###
nature 462,386-534 26 November 2009 Issue no.7272
Letter p.491 / Electrical creation of spin polarization in silicon at room temperature / S P Dash et al. (University of Twente)
News and Views p.419 / Solid-State physics :Silicon spintronics warms up / Micharl E. Flatte


半導体中の電子スピンの制御と操作は、電子電荷ではなくスピン配向を用いるデジタル情報表現をめざすスピントロニクスの中核となっています。

このようなスピンベースの技術は、ナノエレクトロニクス、データ保存、論理アーキテクチャーやコンピューターアーキテクチャーに大きな影響を及ぼす可能性があります。

最近、全電気的な構成を用いて、非磁性半導体(ガリウムヒ素とシリコン)にスピン偏極を生じさせ検出することが可能になりました。

しかし、これまでのところ、150 K 未満の温度で n 型材料で実現しておらず、今後の開発が制限されています。

今回の成果は、室温で動作する相補型シリコンデバイスや電子回路におけるスピン機能の実現、さらにこうしたデバイスや回路の可能性と、それらの挙動を支配する原理の探求に道を開くものであると考えられています。
posted by 0≠素子 at 14:18| scientific article | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。