2010年05月30日

物理:磁場を模倣する

原子ボーズ・アインシュタイン凝縮体(BEC)は、超伝導のような複雑な系で起こる多体現象の研究に使うことができます。

しかし、多くの興味ある現象は磁場中の荷電粒子の場合に起こり、 BEC は中性であります。

この欠点は、中性系を回転させて合成磁場を作り出せれば回避できますが、このような磁場は強度に限界があります。


Lin たちは、超冷中性原子に対して、回転法の制限を受けずに磁場を光学的に合成する方法を報告しています。

この方法は、量子ホール領域に到達するのに必要な強力な磁場を発生させることができ、トポロジカル量子計算の研究が可能になると思われます。


### database ###
nature 462,535-688 3 December 2009 Issue no.7273
Letter p.628 / Synthetic magnetic fields for ultracold neutral atoms / T-J Lin et al. (National Institute of Standards and Technology, and University of Maryland)
News and Vews p.584 / Atomic Physics : Neutral atoms put in charge / Martin Zwierlein



中性原子ボーズ凝縮体と縮退フェルミ気体は、重要な多体現象を最も簡単で本質的な形で実現するのに使われており、この場合は物質系に伴う多くの複雑性は通常伴いません。

しかし、これらの系は電荷中性なため、見かけ上限界があります。

すなわち、二次元電子系の分数量子ホール効果などのさまざまな興味ある現象は、電磁場中の荷電粒子に働くローレンツ力から生じるのであります。


ローレンツ力とコリオリの力が等価になることを利用して、回転する中性系で合成磁場を生成すれば、この限界は避けられます。

このことは、回転する量子気体についての先駆的な実験で、磁場中の超流体や超伝導体の特徴である量子渦が現れたことで実証されています。

しかし、最大回転速度を制限する技術的問題、回転状態の準安定な性質、そして安定な回転格子適用の難しさから、回転法では量子ホール物理に必要な高い磁場を得ることができません。


今回 Lin たちは、超冷中性原子に対して光学的に合成した磁場を実験により実現しました。

これは、ボーズ・アインシュタイン凝縮体に渦が現れることから明らかです。


この方法は、原子の内部状態間の空間依存な光結合を使って、高い合成磁場を生成するのに十分なベリー位相を発生しており、また回転系のもつ制限を受けません。

適切な格子配置を使えば、量子ホール領域に達成できると考えられ、トポロジカル量子計算の研究が可能になるだろうと考えられています。


posted by 0≠素子 at 15:03| scientific article | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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